雨後のA1

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2023.07.01

2023年7月のニュース

先月は、大きな案件のリリースが続きました(珍しく仕事の話からスタート)。詳細はまたお仕事紹介のコンテンツで紹介はいたしますが、どちらも長い間携わっていた案件で、そういう仕事が一旦終わる時の寂しさというのを感じるのですが、そんなセンチメンタルな気分に梅雨時はピッタリでした。事務所の椅子に座り、窓から外の雨の風景を眺めていると、なんだかとても気分が落ち着きます。

全ての仕事が大切な仕事であることは勿論なのですが、やはり自分の中で何かが変わった。というきっかけを頂ける仕事というのはあるもので、最近の仕事にはそういう仕事が多い気がします。とりあえず先月リリースした三つのサイトを紹介させてください。

VERITA SOFA

ブランディング〜ウェブサイトの構築〜カタログ等の紙ものの作成をさせて頂き、さらにビッグサイトで行う展示会のプロデュースまで、全てお任せ頂きました。約9ヶ月のお仕事となりましたが、とてもやりがいがあり、プレッシャーも強く感じながら、楽しく仕事をさせて頂きました。ソファーの良さは勿論そうなんですが、何故にソファーが魅力的なのか?という事を紐解くと、作者が魅力的。ということが、制作する過程で気づくことです。そういう魅力まで伝わっているといいなぁ。と思います。

VERITA SOFA WEB SITE

黒茶屋、燈々庵

東京都あきる野市にある黒茶屋、燈々庵という、由緒あるお店のウェブサイトの制作をさせて頂きました。「食事処」と単純に形容するだけでは収まりきらない、数々の魅力があるお店をどう表現し、ウェブサイトと言う平面に落とし込んでいくのか?という部分と向き合いました。また、食事を検討される方にとって大事なお品書きを、レスポンシブな表現で見やすく、検討しやすくするための表現は、とてもこだわって作りました。お店のスタッフさんは勿論、経営陣の方々も魅力的な人で、やはりお店の空気は人が作るな。と思いました。

黒茶屋 WEB SITE
燈々庵 WEB SITE

どちらも共通して「人の素晴らしさ」を感じながらの制作となりましたが、ここ最近は人に恵まれていると日々感じながら生きることが出来ております。振り返れば、色々な思い出が蘇ってきますが、ここまでやって来られたことは、人と人の良いご縁があってこそだと思いました。

今月のFONT紹介は“A1明朝”です

フォント紹介と言うと偉そうなんですが、自分の勉強の為に毎月書かせて頂いています。意見も個人的な意見となりますが、良かったら読んでみて下さい。

今月紹介するのは、2度目の登場となります“A1明朝”です。前回紹介したのは、2016年の11月でした。かなりお世話になっているフォントにしては内容がサラッとしたもので、このままではいかん。という事で改めてご紹介させて頂きます。

A1明朝

A1明朝

曲線がとても美しいフォントで、明朝体を使う場合は必ず候補に入るぐらい、お世話になっている書体です。その特徴はなんと言っても、線の交差部分にある墨だまりで、印刷で角が甘くなったような表現が施されていることです。それによって、明朝体の表情も相まって、温かみのある雰囲気になるのです。ただ、その温かみというのは、あくまでも無意識で感じるレベルに留めてあり、決して甘くはなく、その絶妙な表情が見事で洒落ています。

そう、“A1明朝”は、とても洒落ているのです。

文字の形は、明朝体らしい流れのあるキリッとした形となっています。かなも表情があって、味わい深いもので、大人っぽい感じの丁寧さを感じます。カタカナやアルファベットもらしさがあり、かなり特徴のある部類に入るフォントではあるものの、奇をてらった感じもありません。

A1明朝

A1明朝

一番上の見出し画像を見ていただいてもわかると思いますが、縦書きでの流れもとても美しく、洗練されたものとなります。可読性も優れていて、すらすらと読むことが出来ます。実は今回紹介させて頂きました、黒茶屋、燈々庵のサイトは全てA1明朝となっておりますので、その美しさを堪能していただけるのではないかと思います。ぜひご覧ください。

ただ、“A1明朝”に関して一点だけ残念なのが、ウェイト展開が無い。ということです。これだけ丁寧に作り込まれたフォントだから、下手にウェイトを増やすことは難しいのかもしれませんが、他のウェイトが出来るのであれば見てみたい。と心から思います。あ、最後に苦言みたいになってしまいましたが、間違いなく良いフォントです。うーん。むしろ1ウェイトのままの方が潔くていいのかなぁ。とも思ったりしますが。見てみたいですMORISAWAさま。

さて、今月はここらへんで。
フォントを紹介していてよく思うのですが、「いいフォント」と表現した際に、「では、悪いフォントは?」と思うと、そんなものはないんですよね。どこかが悪くても必ず良い部分があったりするからです。

関連することとして「良い人」とか「悪い人」っていう言葉とかもそうで、完全な悪もいなければ、完全な善も僕の知る限りはいないな。と思うのですが、そういうグラデーションのあるものを包括的に表現する言葉が、もっとあっても良いんじゃないかな。とか考えたりします。現状ですと、やや回りくどい言い方をしないと、そこに辿り着けません。例えば、「あの人は優しい人なんですが、欠点として怒ると手がつけられません」とか。本来はグラデーションがあることを前提に話せた方が議論が深まりやすいと思うし、悪い部分をいちいち上げると悪口になってしまったり。なので、あえて言わなくても、素早く共通認識に辿り着くための言語の開発が、急務ではないかと思いました。みたいなことまで言い出すと、長くなりそうなので、ここら辺で切り上げたいと思います。

そろそろ梅雨が明けて夏本番となりそうですね。暑い日々が続きますが身体に気をつけつつ猛暑を楽しみましょう!そろそろ日傘とかを買った方がいいのかなぁ?

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