ボドニという書体は、ファッション系のデザインには引っ張りだこで、本屋さんの雑誌売り場を眺めていると、派生フォントを含め、必ず目に入ってくるような人気のある書体です。
細かいフォントの紹介は省略しますが、今回紹介するのはそんな大人気のフォント“Bodoni”にまつわる物語です。
内容は、作者の生い立ち〜時代背景、字体に関する考察、派生フォントにまで及び、ボドニファンにはたまらない内容になっていると思います。
自分が一番興味を持った部分は、この美しいフォントを作った“ジアムバティスタ・ボドニ(本の綴り通り)”の生い立ちから、時代背景のお話です。
18世紀の書体デザインは、現在とは技術的な側面で大きく異なります。
今のようにコンピューターなんてない時代ですから、フォントをデザインした後に彫刻し、鋳造までを行う事が必要でした。
その為、技術の発展が表現可能なデザインを決定づける大きな要因の一つでした。
そんな時代背景の中、ボドニという人物が書体全体に与えた功績の大きさを知る事が出来る内容になっています。また、同時代に活躍したディドー、グランジャン、フールニエ、キャスロン、バスカービルなんかとの絡みも少し出てきたりするところも面白かったです。
ボドニという書体は、人気の高さ故に生み出された後にも様々なコピーが作られて行きます。また、精度の高い活字を量産する技術がなかったことも多いに影響しますが、ボドニという名前がつけられていても、オリジナルとはかけ離れたものも少なくないようです。
その派生フォントの種類の多さから、ボドニを購入する際に迷った経験があります。
しかし、この本を読んで、完全なオリジナルにこだわる意味はあまりなく、時代や好みにあった、きちんとリメイクされた書体を選ぶ事が大事なんだと改めて思いましたし、生い立ちを知った後にはより良いボドニが選べるのではないかと思いました。また、ボドニをより一層愛おしくを扱うようになった事は言うまでもありません。
とてもマニアックな本ですが、ボドニが好きな方は面白く読む事ができると思いますので、ぜひ読んで見てください。
本書は絶版になっており、中古でしか購入できませんが、お店によってはとても安く買えます。
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