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フォントのふしぎ-小林章-2014.6.7

フォントのふしぎ

書体デザイナーの小林章さんの著書です。
小林章さんの著書は、何冊か読んでいて(まだ紹介出来ていませんが。。。)、どの本も勉強になるだけでなく、書体に対する愛情を感じられ、読んでいて非常に気持ちが良いと思います。

今回の本は、副題が「ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?」となっております。興味深いですね。
内容もロゴにフォーカスが当てられていて「どうして、こういう表現をしているのか?」等々、小林さんの深い洞察を通して学ぶ事が出来ます。

スープを飲んだ後、使ったスプーンの形がありありと思い出せるようなら、そのスプーンのデザインは悪かったということだ

この言葉は、本に出て来るアドリアン・フルティガーさんの言葉です。
とてもハッと気付かされる深い言葉ですね。

ロゴを作る時にも、デザインをする時にも、ついつい個性にこだわり過ぎて、本質を見落としていた。
なんて言うことは良くある事です。
デザイナーが“作品性を高めよう”と、エゴに走ってしまったり。
そここそが、デザインに大事な“バランス感覚”が必要な部分でもあると思います。

有名なブランドの中の一部のロゴは、既存のフォントを使用し、ただただしっかりと組まれています。
そして、そのロゴが100年に渡るブランドの繁栄を支えていたりするのです。

フォントに関するへんな噂や思い込み

Futuraという有名なフォントがありますが、日本で「ナチスの書体だから、使うのはタブー」なんていう噂があったようですが、それもアッサリと否定されています。

僕は実際に経験があるのですが、日本語フォントの「ヒラギノ」をデザインに使用したら、「どうしてヒラギノなんですか?手を抜かないで下さい」と怒られた事があります。
当然「その時のデザインにはヒラギノが合っている」という判断の元で行ったのですが、デザイン経験のあるクライアントさんから「Macに元々入っている書体で、手っ取り早く文字を組んだ」と言われてしまったのです。

その時の事を思い出すと、自分の説明不足、実力不足も当然あったと思いますが、そのクライアントさんに「コンピューターに同梱されているフォント=考えていない」という思い込みがあったように思います。
ヒラギノ。いい書体です。とてもカッチリと決まるし、だからこそMacに使われているんだと思います。

特に日本の企業は、独自のフォントを作らないと駄目だ。みたいな思い入れが強い気がします。
もちろんクライアントさんの願いなら、叶えるのがデザイナーではありますが。

でもやっぱり、せっかくいいフォントデザイナーさんが、素晴らしいフォントを作ってくれているのに、勿体ないなぁ。と思ってしまいます。
我々のようにWEBデザイナーや、グラフィックデザイナーは、あくまでも書体デザイナーではありませんし、同じ土壌で勝負したらどうしても書体デザイナーにはかないません。
沢山のフォントの知識の中から、目的に合ったフォントを選び、最適な形に整える。
それをきっちりやると、とてもいいロゴが出来ます。

勿論、オリジナルロゴを否定するつもりはありませんが。

少なくとも、書体デザイナーさんの作ったフォントの方が良い効果を生む。という場合は「オリジナル書体ではない」という理由で却下するのは勿体ないですよね。

やっぱり最後には書体に対する愛

この本を読んで、改めで書体に対する思いと愛情が深まった気がしています。

バカみたいな結論で恐縮ですが、デザインにもタイポグラフィーにも、愛が必要です。
そう思わせてくれる良書です。

この本について

題名
フォントのふしぎ ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?
著者
小林章
デザイン
祖父江慎+福島よし恵
発行
株式会社美術出版社
発行日
2011.1.7

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