11th anniversarry

2022.11.21

EMDesigns 11周年

「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」これは村上春樹さんの著書“風の歌を聴け”の冒頭の文章です。これを初めて読んだのはもう二十年以上前で、まだプロとしてのデザイナーになる前、定職にも就かずにバンド活動をしていた時でした。

その時の自分は「完璧な音楽などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」と、言葉を置き換えることで、自分の制作する音楽の拙さに対しての、慰めとしていた言葉でした。その後、デザイナーとなった自分は、「完璧なデザインなどといったものは存在しない。完璧な社会が存在しないようにね。」という風に都合よく変え、自分の作る制作物の拙さに対する慰めとしていたように思います。

11周年を迎えました

そうこうして、なんとか迎えた11周年ではありますが、現在ではその言葉の意味が当時とは少し異なって捉えられるようになりました。世界を見渡してみても思うことですが、様々な属性の人々が異なる思想を持ち、異なる意見を持つように、もはや完璧という概念自体に無理がある。という事がわかってくるからで、いつしか自分の拙さに対しての慰めという言葉ではなくなっていました。

意見は概ね約半数で別れ、それに対して絶望に近い気持ちになることが少なくはありませんが、それは同時に希望の光であったりもします。世界が一方向にのみ進む訳ではないからです。
そして、自分にとって、それを理解できたことが、デザインをする上でとても大事な事だったように思います。

何年続けても、安定なんてしませんし、毎年危機的な状況が訪れています。これも絶望を生み出すと同時に、希望の光を生み出す要因となる事実です。
なんだか全体的に重苦しくて暗い文章となりましたが、それは自分が暗い人間である事が原因で、実際にはもっと楽しく仕事をすることが出来ています。

皆さまありがとうございます!

最後に、いつもお仕事を下さる皆さま、いつもお仕事を手伝ってくださる皆さま、いつも温かい目で見守ってくださる皆さま、いつも僕を気にしてくださる皆さま、いつも拙い文章を読んでくださる皆さま、いつも僕を嫌っている皆さま、そして、こういってしまうと元も子もないようですが、世界すべての皆さまに感謝を申し上げます。

今後とも、EMDesignsをよろしくお願いいたします。

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