徐々に暖かい日が増え、春の訪れを感じる3月となりました。晴れた暖かい日にはとても幸せな気分になりますが、ふと車に目をやり、鬱蒼と積もる花粉を見ると、色々な人の顔が頭に浮かびます。花粉症のあの人やあの方の顔です。僕は花粉症ではないので、春は幸せいっぱいなのですが、どうしても遠慮がちになってしまいます。だってあの人たちの顔が浮かぶから。。。
それにしても、花粉症というのは一体なんなんでしょう?人間が受粉して鼻水を生み出すなんて。もしかすると、その大量の鼻水が蒸発し、雲となり、降った雨が大地を潤し、川となり海となるのではないか?そのSDGs活動に参加できない悲しき自分は、せめて春の太陽を喜ぶくらいしか出来ないのです。春に似合う服を纏い、全身で春を表現する義務が僕にはある。しかし、こんな作り話さえも笑って頂けず、あの方達から厳しい言葉をいただくことに今年もなりそうです。「早く花粉症になってしまえ!」と。花粉症の皆様、お大事にどうぞ。
話は変わりますが、僕は約1年前から英語を勉強しています。今までの人生、英語を何故か避け続け、英語で話しかけられても全力の日本語で応える。ということをしてきました。しかし、ふとしたきっかけで英語を学ぶことになりました。話せるようになることが目的なので、英会話を習っていましたが、考えてみると僕は、欧文フォントの形の解説をする際に「長文が読みやすい」とかなんとか偉そうに書いていたのに、欧文なんてあまり読んでない。。。と思ったこともあり、英語で書かれた小説を読んだりもしてみました。(一冊読破)
正直、意味を追うのに必死で、文字の読みやすさとかまでは全然分かりませんが、いつか、スラスラ読むことができるようになり、書体の違いまでに意識が向くようになることが目標です。英語で書かれた文章を翻訳家を通さず読める。というのもすごく素敵なことですよね。また、歳をとってから何かを学ぶ。という事にも喜びを感じます。なかなか単語が頭に入らなかったりはしますが、諦めずに頑張りたいと思います。
フォント紹介と言うと偉そうなんですが、自分の勉強の為に毎月書かせて頂いています。意見も個人的な意見となりますが、良かったら読んでみて下さい。
今月ご紹介する“PGF Business”は、どんなにフォントに詳しい人でもあまり聞き覚えのないフォントだと思います。というのも今回ご紹介するのは「手書きスクリプト体」という、ニッチなジャンルでもあり、且つ、あまりにも限定された使用用途になりますので、いわゆる定番が生まれにくいのだと思います。自分は時々、手書きのスクリプト書体が欲しくなって物色する謎の癖があり、今回はそれです。何に使用するのか?とか特に目的もなく、ただ好きなので購入しました。
ペンでスラスラと書いたような、手書き感漂うフォントです。文字同士の繋がりもよく、文字の高さが揃っていて綺麗ですね。僕はこういうフォントを見るときに、描いている人を頭に浮かべています。ここでその人物像を言うと、それに限定されてしまうと思いますので言及しませんが、皆様もやってみてください。このフォントからは、きっと素敵な人が頭に浮かぶことでしょう。
このフォントの魅力はなんと言っても「アナログ感」です。しかし、このフォントには手書きの暖かさとは一見対極的な、デジタル技術が沢山使われています。デジタル技術で手書きの暖かさを表現しているのです。
例えば、上のは合字です。最初の「The」のTが異なります(それ以外は同じです)。左側が長く、逆に右の線は隣のhを飛び出ていません。
そして、次がスワッシュと言われる装飾の線です。「fox」のfや、二番目に出てくる「the」のt。最後の「dog」のdがそうです。
この“PGF Business”には、異なる表情を出すための字形が沢山入っていて、なんとその数は全部で1767にもなります。アルファベットは、26文字の大文字と小文字と数字・記号等がありますが、基本的な欧文書体は256文字で足りてしまいます。それを考えると中々の数です。ちなみに、購入元であるMyfontで、その全てを見ることができます。
僕が手書きスクリプト体を好むのは、その筆致から体温を感じられるからだと思っています。そして、それを使うときにも、色んなスワッシュを入れたり、丁寧に繋がりを確かめたりしてフォントを作る、作者の事が頭に浮かんでくるのです。そして、「自分にできる限り美しく使いたい」と思うのです。もちろん、丁寧に作っているのはどんな書体もそうだと思うのですが、手書きスクリプト体を使う時は特に、思考の渦に巻き込まれそうになります(個人的な話ですが)。
ちなみに、今回の見出し画像で“PGF Business”に合わせたのは、先月ご紹介しました“Caslon 540 LT Std”のイタリックです。だいぶ年季が出てきた僕の事務所の床に、アンティークの瓶の影が美しかったので撮った写真を使い、その画像と合わせる前提で書体を選びました。
さて、春です。この季節、僕が住む青梅市では、山々の色が日々変化する一年の中でも最も素敵な季節となります。春を楽しみ、仕事を楽しみながら、今月もやっていきたいと思っています。
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