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「図説 サインとシンボル」との出会い2015.8.16

デザイナーを生業としていく上で、いつも頭の片隅に「究極のグラフィックとは?」という疑問がありました。
一つの点、そして一本の線。“伝える”という点における最もパワフルな形って?

現在、流行っているフラットデザインやシンプルなデザインをはじめから目指すのではなく、削ぎ落として行った結果浮かび上がってくる一つのシンプルでパワフルなグラフィック。それを追い求めて、いずれ突き詰めた答えが見つかる事を目標にデザインをやって来ました。

そして、あらゆる文化や言語を超越して尚伝わるグラフィックはあるのだろうか?と、考えていた時、たった三本の線で表現できる「矢印」が思い浮かびました。道標や案内には文化を問わず使えるのではないか?と。
しかし、考えて行くと、矢印の起源は武器としての矢の誕生前には通用しないだろうという結論に至りました。

グラフィックの考察。矢印、星、月

次に考えたのは「三日月」や「星」。
「うーん。これは割と核心に近いぞ」なんて、深いんだか深くないんだかわからない事を延々と考えていた矢先、この本に出会いました。題名はずばり「図説 サインとシンボル」です。

良書との出会い

著者は書体「Univers」「Frutiger」「Avenir」等々、有名な書体を数多く作っているアドリアン・フルティガー氏。
「これは読むしかない」と、迷わずレジに持って行きました。

この本は、点や線、記号、サイン、文字、シンボル等に関して、フルティガー氏のイラストを交えて、解説してある。という内容になっています。
日本の家紋に関しても少し書いてあったりします。

まさしく自分が求めていた内容でした。
結論から言いますと、この本はありとあらゆるデザイナーが読むべき。と思える程の内容でした。

文化と密接に関わるグラフィック

自分が考えていた「究極のグラフィック」は、表意文字としての起源でもある、象形文字に近いものでしたが、やはりそれらは文化の発展や、生活環境に左右されながら発展してきたものであり、文化を超えた存在、例えば宇宙人にも伝わるデザイン。と言えるものは、ないのかもしれません。

矢印は、戦う事や、動物を狩る事のない草食の文化しかなかったら通じないでしょう。
星は、その生き物の住んでいる星では瞬いていないかもしれません。月も同様です。

従って、我々デザイナーが心がける事として、文化や環境を知った上での共通言語を探る。という事になるのでしょう。

シンプルでシンボリックなものというのは、当たり前のように「わかっている気」がしますが、掘り下げていくと、ちゃんとわかっていなかったりしませんか?
誰かに説明しようとして言語化しようとした時に、「あれ?」って思ったり。

思えば僕は、先人たちの文化の上に成り立ったシンボルを、あまり考えずに使って来た。という事に本書を読んで気付かされました。

デザインの判別しやすさ

同じ6を表すが、読みやすさが違う

上の図は、左右共に升目に点が六個入っています。
左側はお馴染みのサイコロの6。
右側はランダムに6個の点が並べられています。

一目瞭然ですが、左側は一瞬で「6」と判断できます。
サイコロで馴染みがあるからです。

一方、右側は点を一つずつ数えなければ数を判別できません。これが標識だったら。と思うと事故が多発する事が容易に予想できます。

これが正にデザインの本質的な部分ではないでしょうか。
つまり、文化を無視しては、目的に近づけない。という事です。
勿論サイコロの目を超える形態を探すのも、今を生きるデザイナーとしての役目ですので、忘れずにいたい所です。

最後に

究極のデザイン。という身に余るテーマを考え続けていましたが、その結果としてこの本に出会えた事を心から良かったと思いました。

デザイナーとしての仕事は、先人達の経験や試行錯誤、そして文化の上に成り立っている訳です。そして、今、正にデザイナーとして仕事をさせて頂いている自分は、その文化をアップデートしていかなくてはならない。と強く感じました。

この本について

題名
図説 サインとシンボル

著者
アドリアン・フルティガー
越朋彦
監訳
小泉均
発行所
研究社
発行日
2015.6.24

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