先月にローンチしたブランド「21g」にかかり切りで、ほぼ記憶がない一ヶ月でしたが、いつの間にか梅雨は終わり、夏真っ盛りとなっていました。
モノを作って販売する。ということは生まれて初めての経験となります。自分がこだわって作り、間違いないと思ったものを販売しているわけですが、いざ販売を開始すると訪れる不安(本当に売れるんだろうか)や、疑問(どうやったらいいんだろうか)と言った、初心者な期間真っ盛りで、色々な感情を感じることができました。その中でも、やはり一番は買ってくださった方への感謝の気持ちは格別で、本当に抱き締めたいくらいの気持ちが生まれましたし、この気持ちは大切に、忘れずにいたいと思った次第です。
また、普段行っていたWebデザインとは異なり、実際にモノとして残ることは感慨深く、経年変化も含めて予想のつかないことが数多くあります。街中で僕の作ったTシャツを着ている人を見つけてしまったら、抱き締めてしまいそうです(こわ)。または、古着屋に行ったら100円で売っていた。なんということもあり得ます(買っちゃう)。Tシャツを切り刻んで着ている方を見つけることもあるかもしれません(見てみたい)。
実はこの「21g」は、自分のデザイナーとしての実験の場という意味合いもあります。クライアントさまのビジネスに対し、自分が提案したりデザインを行ったりするのですが、自分自身が実際にサービスや、ブランドを運営した事がないことに対し、少し不安がありましたので、今回のブランド運営の経験は、今後のデザイナーとしてのお仕事にもフィードバック出来ると思っています。
実際にローンチするまでの、制作物を用意する段階でも「デザイナーとしての自分は、理想を追求したいので●●円ぐらいかけたいと言っているけど、そこまではかけられないなぁ。。」等、運営する立場と、デザイナーとしての立場での葛藤が沢山ありました。また、今回は着用イメージのモデルとして、自分が出演しているのですが、生まれる「恥ずかしい」という感情に対して、デザイナーとしての自分が「恥ずかしがってる場合じゃない」と、叱りながら撮影を行うような、二つの立場を同時に自ら行う。ということをしながら進めました。それは難しくもありましたが、とても良い経験でしたし、今後、よりクライアントさまの気持ちに、寄り添うことができそうな気がします。
フォント紹介と言うと偉そうなんですが、自分の勉強の為に毎月書いています。意見も個人的な意見となりますが、良かったら読んでみて下さい。
今月は、“筑紫Aオールド明朝”です。エレガントなデザインと実用性の高いフォント筑紫明朝体を、より伝統的で情感溢れるディティールにしたフォントとなります。
早速みてみましょう。
サラサラと筆で書くような筆運びを感じる、美しいフォントですね。形はやや長体気味(縦に長い)で、ふところ(文字の内側にある空間)が狭い、古風なフォントで、流れるような曲線と、かなのカーヴは実に張りがあり、セクシーさが際立っているように思います。
次に、シリーズの母体である筑紫明朝体と比較して、その違いを見てみてみましょう。
見比べてみると、曲線部分の表現だけでなく、文字幅から異なることがわかります。文字によってはほぼ変わらないものも見受けられますが、曲線の多い文字は骨格から作り直されているようです。
次は混植です。
和文と欧文の区別がくっきりしていて、判別しやすくなっています。欧文はかなりxハイト(小文字xの高さ)が低く、aやeの囲みが異常に小さいのが特徴で、クラシックな雰囲気はこちらでも上手く表現されています。
“筑紫明朝”は、Garamondのような古いタイプのローマン体となっていますが、”筑紫Aオールド明朝”は、更にクラシックなタイプが採用されており、なかなか味があって好きです。どっちも「jumps」のmとpの字間が気になりますね(無調整です)。これは調整しないとダメですね。
”筑紫Aオールド明朝”は、オールドと冠されるだけに、クラシックな表現が随所に見られ、情感あふれるフォントです。筆の運びが丁寧な印象を与えてくれ、大変に見応えのあるフォントだと思いました。流麗という言葉がピッタリきます。
さて、今月はこの辺で。
まだまだ暑い時期が続きますので、Tシャツの販売は頑張り時。と言うことで、新作を現在用意しています。新作は純粋なタイポグラフィ作品となっておりますので、前作よりもさらに着やすいかと思います。8月の上旬には販売できるようになりますので、チェックしていただけると嬉しいです。
暑いですので、熱中症対策を忘れずに頑張りましょうー。
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