暑い日々が続きますが、みなさまお元気でしょうか。僕はすっかり体調を崩してしまい、一週間弱伏せっておりました。熱が上がったり下がったり、体の節々は痛み、喉の痛みで何も食べる気にならず。と書いている今もまだその余波が残っており、あまり元気とは言えません。
しかし、その更に一週間前には、僕としては大変珍しく夏休みとして沖縄に行ってまいりました。それが上の写真です。天気にも恵まれ、沖縄の美しい光を浴びてきましたが、考えてみたら普段地底人のような生活をしている人間が、そんな光を浴びたからダウンしたという説もあります。。まぁともかく、ジェットコースターのような8月でした。
毎月のコラムを書くにあたって、写真に添える文章や、タイトルをかなり悩んでつけています。大体は紹介するフォントに絡めたものにすることが多いのですが、どうしても絡められないフォント名の時もあります。例えば「KF ひま字」とか。なんとか出来なくはないのですが、どうしてもカッコよく出来そうにありません(実力不足)。。あとは、2022年の7月の「Didot」に至っては、考え付かずにそのままタイムリミットになってしまったようで、フォント名がそのままタイトルになっています(苦笑)。
ちなみに今月の「Diamond sea」は、大好きなSonic youthというバンドの曲名(実際はThe diamond sea)で、それにフォント名が若干かけてあります。「Diamond sea」がどんな曲かというと、一曲20分弱ある大作で、美しい海に包まれるような感覚になる素晴らしい曲です。
フォント紹介と言うと偉そうなんですが、自分の勉強の為に毎月書かせて頂いています。意見も個人的な意見となりますが、良かったら読んでみて下さい。
由緒正しいローマン体“Garamond”です。その歴史は古く、16世紀まで遡ります。当然それぐらい古いフォントともなると、様々なメーカーから様々な解釈をされて発売されておりますが、今回は、最も手に入りやすいであろうAdobeのものを紹介します。ちなみにAdobeがデジタル化したのは1988年だそうです。
ちなみにフォント名“Garamond”は、作者の名前ジャン・クロード・ギャラモンから付けられている。と思っていたのですが、実は元々の作者はクリストフ・プランタンさんで、それをジャン・クロード・ギャラモンが自分の名前を冠して、発表したらしいです。なんか心配になる話ですが(笑)。ただ、現代とは異なり、紙にデザインするだけが書体デザイナーの仕事ではなく、活字を作り発表する必要があった事が背景にはありそうです。ジャン・クロード・ギャラモンさんの作った活字のクオリティーが飛び抜けて高かったのかもしれません。
うん。多分みなさんの思い浮かべる、いわゆるローマン体。というフォントだと思います。xハイト(小文字のxの高さ)が低く、アセンダー(小文字のxの高さより上に出る部分)、ディセンダー(ベースラインより下に出る部分)が、文章に適切な凹凸を与え、長文が読みやすい、まさに機能美を感じさせる書体です。文句のつけどころがない。ローマン体を検討する際には、必ず候補に入れますし、候補から外す理由があるとしたら「有名すぎる」ということぐらいかと思います。小文字の「g」はいわゆる「眼鏡g」と言われる形ですが、単体で眺めてもかなり美しいのです。なんでこんな形が生まれたんだろう?
イタリック体は、なんと作者が別でロベール・グランジョンが作ったものが元となっています。そこら辺の経緯はちょっと調べてもよくわかりませんでしたが、やはり当時の印刷技術や活字制作の関係から、別々の作者が作っていたものを合わせた。ということが想像されます。
大文字は堂々としたもので、見出しに使用するととてもかっこ良いです。Qの尻尾がエレガントですね。
数字は通常の上下が揃うものと、上下に飛び出るオールドスタイル数字が使えます。ちなみにオールドスタイル数字は、本文中に使用した際に小文字にうまく馴染むように出来ています。通常の数字と比較すると、その差は歴然です。
さて、今回は“Adobe Garamond Pro”の紹介でした。歴史的なフォントですから、調べてみたことのどこまでが真実なのか、よく分からない部分があります。ただ、DTP以降のフォント制作とは全くプロセスが異なる。という事を知り、想いを馳せる時間は、毎回有意義に感じます。調べ始める前までは、面倒だなぁ。。と思っていますが(苦笑)
夏ももうすぐ終わりに差し掛かってきます。少し寂しい感じのするこの時期の夕方は、とても美しく大好きです。そして、もうじき秋刀魚の美味しい季節がやってきます(今すぐ食べたい)。金木犀の香りも楽しみです。いや、先走りすぎてはいけません。今月もコツコツと淡々と頑張りましょう。
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