春の熊とBaskerville

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2021.04.01

2021年4月

早いものでもう7月。というのはもちろんエイプリルフールのあれですすいません。

今年は春先からとても暖かく、色々な花が一気に咲き、山の色が変わり始めてきました。街を歩けば沈丁花の香りと桜の花びらが風に運ばれてきます。また、春の野菜達もとても美味しく、まさしく五感で嬉しい季節の到来ですね。最高。

そして、僕にとってこの時期の楽しみの一つに、ツバメの巣作りがあります。事務所の軒に毎年巣作りを行い、例年であれば4月には既に卵を温めているのですが、今年は街にツバメが一羽も見られませんでした。
去年、この辺りでツバメの巣が落ちる。という痛ましい出来事が頻発していたので、今年は来てくれないのかな?と心配していましたが、本日(3/31)に、この辺りをツバメが飛び回っているのを初めて見ました。よかった〜。
また作ってくれるかな?

話は少し変わりますが、先月の初めにイベントを開催しました。当サイトからも告知をしましたが、「最高の骨董とクラフトの集う三日間」というイベントで、文字通り最高の骨董とクラフトが集う三日間で、とにかく最高でした。
参加された作家さんも素敵でしたし、会場の繭蔵さんは勿論、全体の世界観を作ってくださったMANSIKKA antiquesさん、マルポーさん、来てくださったお客様も皆さまも含め、とても美しかったと思いました。

僕はイベント全体のデザインをやらせて頂き、それを通して色々なことに挑戦したつもりです。
所謂クラフト好きな方が好むデザインを選ばず、一見不思議な世界観とメッセージの打ち出し方を行い、どのようなお客さんが来るのかを予測しつつ、イメージ作りを行いました。“参加する方全てが何かを得られるイベントにしたい”というのもテーマでした。

集客に関しては、もちろんデザイン要素だけでは決まりません。個々の作家さん達の質やファン、繭蔵さんや主催者である「食パンと乾電池」の集客力等々、様々な要素が絡み合いますが、結果的に連日沢山のお客様に足を運んで頂けました。
また、来ていただいた方の傾向として、自分がある程度想像していた通りになった事も、とても嬉しく思いました。

“参加する方全てが何かを得られるイベントにしたい”というテーマに関しては、沢山の方に喜んで頂けたように思いますが、まだまだ改善の余地があるな。と、個人的には感じていますし、中々一回で叶えられるテーマではないな。と、次回へのモチベーションにもなりました。

次回の開催は未定ですが、まだまだやれそうな事が見えるイベントでしたので、色々と頭の中でアイディアを練ったりしています。乞うご期待。

今月の見出し画像はテディーベア作家「外間 宏政」さんの作品です

このキュートな熊さん。たまりませんね。
とはいえ、春の熊は大変危険なのです。良く見ると手が攻撃の姿勢を見せていますし、表情を見てもこの熊は決して油断していません。
この熊は、前述の「最高の骨董とクラフトの集う三日間」に出店して頂いた作家さんで、まさにそこで買いました。(自分が一番楽しんでいる感)

テディーベア作家である外間さんは、このキュートな熊さんと同じくらいキュートな方で、僕の事務所の近所に住まれていて、飼っているワンちゃんの散歩をする姿をお見かけします。というと、気軽な作家さんのように思われるかもしれませんが、大変ご高名で大人気の作家さんです。普段は大忙しなので、中々気軽にお誘い出来る方ではありませんが、コロナ禍で色々な予定がなくなったタイミングだったので、運よく参加していただけたのでした。

今回、事務所に仲間入りしたこの若草色のクマさん。以前からこのシリーズのクマを手に入れたかったのですが、色々とタイミングが合わずにいましたが、ようやくお迎えすることが出来ました。恐らく、今後は当事務所のあちこちに移動して、ご来客のあなたや僕の隙を伺っていることと思います。春の熊は危険なのです。

今月のFONT紹介は“New Baskerville”

フォント紹介と言うと偉そうなんですが、自分の勉強の為に毎月書かせて頂いています。意見も個人的な意見となりますが、良かったら読んでみて下さい。

今回紹介する書体は“New Baskerville”。Newが名前に付きますね。どう見てもクラシックなのにNewが付くということは、改訂版なのです。とはいえ、改訂されたのは1982年です。Newといつまで言い続けるのか?と言われても、名前なので仕方がありません。。あ、ちなみにフォント名のBaskervilleというのは作者の名前です。John Baskervilleさんと言う方の作ったフォントです。
それでは見てみましょう。

New Baskerville Roman

New Baskerville Semi bold

New Baskerville Bold

New Baskerville Black

綺麗なローマン体です。元となる書体は1724年に発表されたそうで、Garamond(1495年頃)等のオールドローマンと比較すると大分Newな書体です。ただ、書体の変化の量としては、Garamondから200年以上経つにも関わらず緩やかではありますが、モダンローマン体に向かう気配は漂ってはいます。それでもやはりBodoni(1700年台後半)のようなはっきりとした変化は見られず、技術革命前の過渡期にあたるフォントという雰囲気がします。

とは言っても、とても良いフォントですし、バリバリのカリグラフィーっぽいフォントではなく、少し筆っぽい雰囲気を感じさせるので、むしろ日本語のフォントにはとても相性の良いフォントじゃないかと思います。

New Baskervilleと本明朝

本明朝と合わせてみましたが、中々良いですね。

続いて、イタリックを紹介します。

New Baskerville Italic

New Baskerville Semibold Italic

New Baskerville Bold Italic

New Baskerville Black italic

うむうむ。ローマン体のイタリックはそれぞれ曲線に特徴があって美しく、見るのがすごく楽しいです。このイタリックは筆致が強く表現されていて、弾むようなリズムが心地よいですね。

また、大文字にすると、とても良い文字が現れます。(下の例はスモールキャップスですが)

New Baskervilleスモールキャップス

Qがとてもかっこいいです。また、どの文字も色気があり、堂々とした風格のようなものを感じます。タイトル等に使用するととても格好良さそう。もちろんロゴのベースにも良いですね。

昨今、ローマン体はサンセリフ体の人気に押されて、いまいち使う機会を失いがちではあります。
流行り廃りは気にしない訳にはいかないのですが、やはり使うべきな時にきっちりと使ってあげると格好いいですし、ローマン体の人気も徐々に上がって来るのではないでしょうか。別に人気が上がらなくても僕は困りませんが(こら)。でも、「このフォント好きじゃないんだよねー」と言われてしまって、デザインに最適だったのに使えない。という事態が減ると良いなと思います。

さて、今回はこの辺で失礼いたします。
緊急事態宣言が解除されました。暖かい日も多いのでお出かけもしやすくなりましたが、まだまだ油断しないようにしつつ楽しめたら良いですね。
それでは今月も楽しみましょう。

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