世の中には二種類の人間がいます。「花粉症じゃない人」と「花粉症の人です」。その間には果てしなく大きな宇宙(そら)があり、果てしなく広大な大地が広がり、どうしょうもないくらい深く切り立った崖が立ちはだかり、途方もない大河が流れ、永遠に分断されていたかのように思っていました。しかし、僕はその大河を渡り切ってしまったのかもしれません。そう、僕の目と鼻は大変なことになっています。止まらないくしゃみ、そしてとめどなく流れ続ける涙と鼻水。つい先月のコラムで、その鼻水活動をSDGsと表現した事へのバチが当たったのかもしれません。
兎にも角にも、大河を渡ってしまった事は認めざるを得ません。しかし、こちら側に渡って来れたなら、また戻ることもできるはず。少しでも春を気持ちよく過ごせるよう、すぐに逆側に戻れるように泳ぎ始めたいと思います。得意のバタフライで、無駄に体力を消耗しながら進むのも良いかもしれません。行きも帰りも楽しみたいですからね。
ともかく、寒い冬を超えられた事は喜ばしいです。今年は桜の開花も早かったですが、山の色が急速に変化していくのを見るのも楽しみつつ、頑張りたいと思っています。自分が関わらせていただける仕事全てに感謝しつつ、この世界が少しでも良くなって行くお手伝いがしたいと思っています。
フォント紹介と言うと偉そうなんですが、自分の勉強の為に毎月書かせて頂いています。意見も個人的な意見となりますが、良かったら読んでみて下さい。
さて、今年になって初めての日本語FONTの紹介となりましたのは“游明朝体+36ポかな”です。名前を見ていただくとわかると思いますが、游明朝体に36ポかなが使われているフォントです。36ポというのは、36ポイントの略で、見出しに使われていた文字を参考にデジタル化されています(大正時代のかな文字だそうです)。
まずは見てみましょう。上からミディアム、デミボールド、エクストラボールドです。今回紹介するのは「游明朝体」のカナ違いですので、元となる書体と比較して見てみます。
かながクラシックになるので、だいぶ温度感というか、情緒が出て来ますね。ひと文字ひと文字が丁寧に毛筆で書かれているような雰囲気があり、一番上の見出し画像のようにひらがなのみで使ったりしても、引っ掛かりが出て良いかと思いました。
また、こういうクラシックな毛筆っぽい書体を使用する際には、やはり縦書きも見てみたくなります。
左が“游明朝体+36ポかな”です。やはりいいですね。元々縦書きだった日本語のリズム感や流れを表すには、やはりこういう書体がしっくり来るように思いますし、日本語の美しさを表現するのには、こうした書体は有用です。
さて、最後にカナのみの比較を見て頂きます。
全然違いますね(笑)。かな書体を見るたびに思うのですが、これだけの違いが、同じ漢字に組み合わせても綺麗に収まるのってすごいですよね。日本の文字文化には、漢字、ひらがな、カタカナ、アルファベットを貪欲に取り込んでいく懐の深さがありますが、それを思うと、自国の文字であるかなの多少の変化など、取り込むのは余裕なのかもしれませんね。恐れ入りました。
日本語書体は、前述の通り様々な要素を組み合わせて出来ています。その為、調べる度に感心させられる事が多いです。そして、日本語の持つ表現力の豊かさは、日本人の表現力の豊さでもあると感じます。デザイナーとして、このような美しい日本語を扱えることを誇りに、これからも精進していきたい。と思いました。
それでは、今月はこの辺で終わりにしたいと思います。今月の終わりにはゴールデンウィークが始まります。いい季節だー!楽しみましょう。
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