四月。春です。
少し前の話ですが、相撲界では稀勢の里の話題で盛り上がっていましたね。
僕も相撲は好きですので、少なからず関心はあったのですが、今の盛り上がり方には少し違和感を感じています。
日本人横綱が優勝!という盛り上がり方が過ぎるような気がするからです。
もちろん横綱も優勝も素晴らしい事です。そして、そういうナショナリズムも否定しません。
それでも、白鵬を始め、今まで相撲界を支えて来てくれた外国人力士への配慮みたいなものがもう少しだけでもあると良いんじゃないかな?と思っています。
国技に従事する者たちへ恭しい所作を求める我々も、拝観する所作を身につけた方が良いのではないのかな?なんて思ったりして見ていました。
まぁいいか。
さて、今月の稼働率ですが、先月から引き続き100%前後の稼働率となっています。
楽しみな(でもプレッシャーのある)仕事をさせて頂ける毎日に感謝です。
新規案件もどしどしご相談ください。
先月紹介したアドリアン・フルティガーさんが作ったサンセリフ書体、Neue Frutigerに合う日本語書体として、2017年1月にMonotype社から新書体「たづがねゴシック」がリリースされる。というニュースを聞いた時には、戦慄が走りました。
Neue Frutigerを監修した小林 章さんの名前も開発チームの名前の中に見かけ、興味をそそられ特設サイトを見てみると、やっぱり美しいフォントでとても使いやすそうな印象でした。(そして購入しました)
実際に見て見ましょう
どうでしょうか?
可読性に優れていて、すっきりと読みやすい印象です。そして、ウェイトが10も揃っていて使いやすそう!
カーニングは、ペアカーニングの効きを見るためにメトリクスで組み、それ以外の調整は一切していません。
日本語とアルファベットのバランスが抜群に良いですね。
ウェイトが太くなっていくと、日本語と英語の関係が変わってきて、英語の高さが日本語に比べると低くなってきていますが、これは黒みの調整でこうなったのかな?と思います。
太いウェイトはタイトルで使用する事が多いと思いますので、気になる場合は多少の調整をしても良いかと思います。
次に、僕の大好きな「こぶりなゴシックとFrutiger」で組んだものと比較して見ます。
全く悪くないですし美しいです。日本語なんかは印象が近いですね。
でも、“たづがねゴシック”と比較すると英語が小さく、幅も少し狭く詰まって感じてしまいます。
というか、今までの書体は大体こういう事が起こる事が前提で、それをどう調整するか?というのが一つのタスクとしてありました。
これを見ると、たづがねゴシックの欧文(Neue Frutiger)は、文字間の調整と、文字自体の幅も少し調整してありそうですね。見事に日本語と英語の雰囲気がマッチしています。
もうひとつ、今度は片仮名も混ぜた文章を見てみてください。
これも調整は一切なしです。素晴らしいですね。
漢字、平仮名、カタカナ、英語の文章の流れでガタつく所がなく、とても美しいです。なかなかこうはいきません。
大体の書体では大げさに言うと片仮名で間隔が広がり、英語で詰まり、結果ガタガタした印象になってしまっていましたが、“たづがねゴシック”は見事に調和されています。
“調和”というのがとても大事で、それには文字の間隔・大きさが一定なのではなく、最適な間隔・大きさに調整されているという事で、とても丁寧な仕事が要求されますし、経験が必要な仕事だろうと思います(ただただ頭が下がります)
さてさて、興奮して色々と試してみましたが、「たづがねゴシック」の魅力は伝わりましたか?
まだ僕も買ったばかりで、わかっていないことも多いのですが、使いやすいであろう事は確実だと思いますし、合成フォントを使う必要もなく、一つの書体で簡単に綺麗に文字が組める。というメリットは計り知れないと思います。
日本語の雰囲気は僕の大好きな「こぶりなゴシック」に少し似ている気がして、個人的にとても好感を感じます。それに欧文の使いやすさや、ウェイトの多さ等々メリットは多く、今後大活躍していく予感がします。
それにしても、たづがねゴシックの登場は、これからの日本語書体全体へ、少なからずインパクトを与えたのではないでしょうか。
これからも、書体を使わせて頂く立場としては、漢字・平仮名・片仮名・欧文が混じる事が当たり前の日本語を組むのに相応しい書体が、どんどん出てくると嬉しいです。
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